|| 倫敦納豆 10/05/05 (水)03:08
一時は回避馬多数で出られると思われていたホクトスルタンが除外となった。「天皇賞血統」の話題性の部分もさることながら、有力な逃げ馬がいなくなったことによるペースの低下が予想された。人気上位を見ると、フォゲッタブル(2.6倍)、ジャガーメイル(5.9倍)、ジャミール(6.9倍)、マイネルキッツ(8.5倍)。以下10倍台にメイショウベルーガ、トウカイトリック、ナムラクレセント、テイエムアンコールの4頭である。全般的に見て差し馬が多く、その戦いぶりは他力本願であることが多い。スローペースの上がり勝負になったときでもよい戦いができるのかどうかが不安要素であった。重賞上位の常連ながらまだ重賞勝ちのないジャガーメイルが2番人気になっているのも、自力でスパートを仕掛けられる点が評価されていたのだと思う。 結果を先に述べると、人気上位4頭のうち、ジャガーメイルはその優位を活かしきった。マイネルキッツは苦戦が予想されながらも努力で克服して踏ん張った。だがフォゲッタブルとジャミールは漫然と劣勢に甘んじてしまった。
13.3-11.9-12.0-11.5-12.0−11.6-12.2-13.8-13.5-12.8−12.6-12.5-11.8-11.3-11.4−11.5
レースが始まって、逃げたのはミッキーペトラ。ここでゴールデンメインと共にマイネルキッツが先行策を取った。先行勢は1周目の直線では一旦後続を引き離して1000m1:00:8を記録した。だが1〜2角で大きくペースが落ち、馬群の前後の差は縮まった。 先頭はミッキーペトラ、続いてマイネルキッツ、続いてフィールドベアーとゴールデンメイン、さらにテイエムアンコール、メイショウドンタク。ジャガーメイルは中団、その後ろにナムラクレセントとフォゲッタブルが控えてメイショウベルーガとトウカイトリックはさらに後ろ、ジャミールが最後方である。 向正面から再び少しづつペースが上がり、3角では先行勢から苦しくなる馬が出始めた。一方でマイネルキッツは先頭に並ぶべく動き、メイショウドンタクが外から進出する。ジャガーメイル、フォゲッタブル、ナムラクレセントといった有力馬も後退する馬を捌きながら順番を上げていく。馬群が固まって横に広がったため、後ろにいたジャミールは内から入ることになった。 直線の手前でマイネルキッツが先頭に立ち、一気に突き放しにかかる。ミッキーペトラには力が残っておらず、メイショウドンタクも前を狙うほどの勢いはない。これを追うのは、外を回って2番手に上がったジャガーメイルただ1頭。ジャガーメイルは最後にマイネルキッツを捕らえ、念願の重賞勝利をG1で飾った。2着マイネルキッツ、3着は5馬身離れてメイショウドンタク、追い込み勢は4着以降を争うにとどまった。
勝ったジャガーメイルにとって、本当はこの距離は少々長く、平均ペースでこの距離を押し切るスタミナは無かったと思う。だがペースが落ちたことでその点は回避された。一方でスパート後の脚は長持ちする方で、直線で馬群を捌く必要がなくなったこともあって先頭に追いつくことができた。これまで勝ちきれないレースが多かったこともあって、個人的な印象は「宝塚記念で初G1になるタイプの馬が、うまい具合にその前の春天を勝てた」といったところ。ウイリアムズ騎手は「メルボルンCでこの馬に乗りたい」と言ってくれたが、少なくとも日本の秋G1が苦手なタイプではないと思う。 マイネルキッツは今回先行策をとった。勝つには至らなかったものの戦法としては正解だったろう。ジャガーメイルに最後差し切られた理由は、単純にスピードの差である。ということは勝つためには1〜2角でペースが落ちたところで一気に先頭を奪うか、3角で先頭に立つかが必要だったことになるが、さすがに急造先行馬にそこまで望むのは酷か。この馬にはメルボルンC出走の構想があるらしく、個人的には賛成である。
スローで上がりが速くなった影響でいわゆる前残りになり、4角で後ろにいた馬たちには出番はなかった。私は元からそのような馬に対して共感・同情していない。だが、マイネルキッツが後方待機の不利を克服しようと努力していたことを思うと、今回は特に「後方勢が有利になるレースを内心期待していただけ」の陣営に対して否定的な思いを持ってしまう。
ところで、2周目の4角でトーセンクラウンが斜行して5頭に対して妨害した件があった。パトロールビデオを見た印象だが、馬が躓いたのを騎手も一緒に躓き、外によれる動きを止められずに他馬の進路を妨害してしまったようである。妨害の度合いはそれなりに大きかったが、後ろで起こったことでもあるので勝敗の大勢には関係なかったか。
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