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秋華賞 |
[ ☆レース回顧 ] |
|| マラ男 12/10/14 (日)21:05
今年の牝馬クラシックは阪神JFの覇者ジョワドヴィーヴルの動向から始まった。父ディープインパクトに母ビワハイジ、姉にブエナビスタを筆頭とする重賞馬多数という超良血馬への期待は三冠すら抱かさせるものだった。ところがクラシック春、第一戦桜花賞はそんな期待とは裏腹にジョワドヴィーヴルが見せ場敗退して故障離脱。ジェンティルドンナとヴィルシーナの両頭で決まった。第二戦オークスはミッドサマーフェアとヴィルシーナに人気が集中するが、結果はジェンティルドンナの圧勝。そして、秋。第三戦秋華賞となると、ジェンティルドンナが圧倒的な一番人気で三冠達成なるかまでの情勢となった。ヴィルシーナは桜花賞とオークス2着なのだが、ジェンティルドンナを逆転するのは難しいと思われていた。同じく牝馬クラシックを好走したアイムユアーズも同じだった。
タイム:2:00.4 ラップ:12.3 - 11.0 - 13.2 - 13.4 - 12.3 - 11.6 - 11.4 - 11.3 - 11.5 - 12.4 上がり3ハロン:35.2(優勝馬33.1)
明確な逃げ馬やペースメーカーがいないことで、スローペースが予想された。 スタートが切られるとチェリーメドゥーサとラスヴェンチュラスが出負け。内枠1番ヴィルシーナが出鞭を奮って手綱を押して先頭を主張すると、同じく先頭を主張したメイショウスザンナ、アイスフォーリス、キャトルフィーユは自重した。馬群は10馬身差圏内で、ジェンティルドンナは中団外で構える。各馬手綱を引いて必死に押さえる。ところが、向正面800m走ったところで最後方のチェリーメドゥーサが一気に先頭を奪うと単騎先頭から5馬身以上引き離す形。1000m通過62.2秒と超スローペースで馬群はレースをする。3.4コーナーに掛かると先頭チェリーメドゥーサに各馬追撃態勢するも、ペースは上がらず。直線に入ると先頭チェリーメドゥーサに各馬追撃、その差10馬身。残り100mで5馬身差まで迫るところ、内からヴィルシーナと外ジェンティルドンナ両頭が併せ馬の形で差を詰めてくる。そして残り50mでチェリーメドゥーサに両頭が抜き去るとゴール板では互いに馬体を並べてゴールイン。先着したのはジェンティルドンナだった。
展開としては先頭のチェリーメドゥーサ以外超スローで追撃。各馬33.5から34.0秒台の上がり。毎年のように緩みないペースで1分58秒台は当たり前の秋華賞だが、異質の超スロー。実質300メートルによる切れ味勝負となった。折り合いも明暗を分ける形となり、内馬群後方で我慢したアロマティコとブリッジクライムが3.4着になる結果に。
ジェンティルドンナはレース前から気のうるさい面を出し、レース前から折り合いが心配された。道中でも岩田騎手が必死に押さえ込む。3.4コーナーで鞭を入れてゴーサインを出すと、ヴィルシーナと競り合う形となり、押さえ込んだ。見た目の内容は薄いものだが、不利な条件を実力で押し切ったのだから、同世代の牝馬としては一つ抜け出た存在。レース後のインタビューで岩田騎手は「ブエナビスタに匹敵」と答えた。岩田騎手は晩年のブエナビスタの主戦騎手だが、それを比較するということは、単に実績云々より底力の一面を語ったと思う。少なくとも直線の反応は岩田騎手が思っているほど鈍いものだった。 一方、2着に敗れたヴィルシーナだが、逃げの一手という人気馬にはタブーな戦法で挑んだ。勝てればそれでいいだろうが、負ければ非難集中は間違いないところ。タブーをを犯してまで、力で捻じ伏せられたのなら。言葉に出来ない敗戦だった。
一連の牝馬クラシックは全て同じ馬がワンツーという結果となった。これについては結果論だから何も言うことでないが、今後は古馬との対決となる。エリザベス女王杯にジェンティルドンナとヴィルシーナが駒を進めるかは分らないが、現在の古馬牝馬の情勢は層が薄く、ホエールキャプチャやフミノイマージンでは物足りないという意見もあるほどである。やがては古馬と戦うにしても、牝馬同士か、牡馬同士かの妄想が膨らむところであるが、そこは見る側の楽しみとしようと思う。
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