|| 倫敦納豆 09/05/25 (月)01:53
基本的に、ダート路線はG3とG2は賞金額以外にそれほど大きな差はない。6連勝中のウォータクティクスから見て、今回のライバルと目される他の上位人気馬たちは、前走アンタレスSで一蹴している。今回の結果を見るといろいろ考え直したくもなるのだが、レース前の情報だけで考えると1番人気は当然だったろう。とはいえ、前走は重馬場、斤量差も接近し、なにより2300mという距離が大きな不確定要素となっていた。 人気はウォータクティクスの後、ワンダースピード、アロンダイトとここまで10倍以内、以下20倍以内までにボランタス、アドマイヤスワット、メイショウトウコン、エスケーカントリーと続いた。
7.1-10.8-12.3-13.4-12.8-12.0-13.7-12.3-12.3-12.4-12.1-12.5
まずスタートでネイキッドとアドマイヤスワットが前へ出る。逃げが予想されたウォータクティクスは控えた。以下ロールオブザダイス、ワンダースピードらも前目につけようとする。この形勢のままレースが落ち着くのかと思ったら、ここからまるで漫画のような乱戦が展開された。
1周目の直線で、後方に控えていたピサノエミレーツが前へ行ってしまった(馬が1周目をゴールと勘違いしたのかもしれない)。するとちょうどピサノエミレーツに外から来られたウォータクティクスが引きずられるように前へ行き、先頭にまで立つ。このあたりで前半遅れ気味だったマコトスパルビエロも外から上がっていく。 マコトスパルビエロも止まらない。2角を回って先頭を走るウォータクティクスをまくるように出て行く。だが間にアロンダイトが入り、そのままアロンダイトが先頭を奪う。この2頭がロングスパートのような形で後続を引き離しにかかるが、抜かれた側のウォータクティクス、ピサノエミレーツをワンダースピードがかわして追撃体制を整え、ネイキッド、ボランタスらも続く。ウォータクティクスは抵抗できずに後退していく。 直線に入ってアロンダイト、マコトスパルビエロ、ワンダースピードの3頭が抜け出た。ただしマコトスパルビエロはアロンダイトと比べて勢いが劣る。3番手のワンダースピードが2番手に上がり、残り100mくらいで先頭に立って優勝した。2着アロンダイト、ボランタスが直線で追い込んで最後に3着に上がった。ウォータクティクスは最下位に終わった。
ウォータクティクスが負けるのはわかる。だが乱戦の原因になったピサノエミレーツの方がもっと変てこなレースをしているわけで、両者の負け方の差を考えるとウォータクティクスの精神面の弱さが目立つ(スタミナの差かもしれないが)。勝負とはいえ、素質馬に対し実に厳しい試練となった。 勝ったワンダースピードの勝因は、もちろん脚力もあるが、それ以上にこの展開の中で他の馬に影響されず前目の位置を守り続けられた点が大きい。ウォータクティクスとは逆に、今回は精神面の強さも示したレースといえるだろう。 アロンダイトが久々に力を見せた。マコトスパルビエロと一緒に上がっていったあたりでは無謀かと思ったが、最後まで踏ん張った。これでも上がり3Fは37秒2であり、足が上がったというよりは勝ち馬の末脚に屈したと解釈すべきか。 何とも見限りにくいのがマコトスパルビエロ。逃げ・先行馬なのにいつものようにスタートで出負け、それを取り戻そうとすると止まらず先頭まで入ってしまう。アロンダイトとの差は、外外を回り続けた距離差だろう。きちんと走れれば地力は高いと思うのだが。とはいえ、距離を延ばしたこと自体は正解だったと思う。 レースのラップを見ると、13秒台が2箇所あり、第1の箇所でピサノエミレーツが、第2の箇所でマコトスパルビエロが我慢できずに出てしまったことになる。これらの馬は我慢が足りなかったことになるのだろうが、逃げていた馬の方に対しても、「そんなにペースを落として、後続が従ってくれると思っていたのか?」との思いは残る。一旦先頭に立ったら無条件に3角くらいまでは逃げさせてもらえる、なんて甘い展開を許さなかっただけ、むしろ好ましい出来事だったのかもしれない。
ところで、中京競馬場改修・D2300m廃止の話があるようだが、この東海Sはどうなるのだろう?今回のような「動きのある長距離戦」は見ていて面白かった。距離短縮はもったいないし、してほしくない。むしろ2000m超の重賞・OPをもっと増やしてもらいたいくらいだが…
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