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菊花賞 |
[ ☆レース回顧 ] |
|| マラ男 09/10/25 (日)21:09
ヤングジョッキーが長距離GIを勝つというのは目に見えて華やか。今年の天皇賞春でも若手松岡正海騎手が勝ち、そして菊花賞では若干二十歳の浜中俊騎手が栄冠を勝ち取った。若手の菊花賞といえば10年前のナリタトップロードと渡辺薫彦騎手以来だろうか。その時の2着もテイエムオペラオーと若手の和田竜二騎手だった。オッズは3強でリーチザクラウン(3.8倍)、イコピコ(4.4倍)、アンライバルド(5.4倍)突出した。馬場は絶好のコンディションながら、その連対血統は重厚なスペシャルウィークやジャングルポケット産駒が目立った。
タイム:3.05.5秒 ラップ:12.9 - 11.5 - 11.7 - 11.9 - 11.9 - 12.1 - 12.6 - 12.6 - 12.5 - 13.4 - 12.9 - 11.7 - 11.4 - 12.2 - 12.2
スタートは全馬良く、リーチザクラウン、スリーロールス、アントニオバローズらが先行し、その後方にヤマニンウイスカー、アンライバルド、フォゲッタブル、シェーンヴァルト、セイウンワンダーらが掛かり気味。中団ではセイクリッドバレー、ナカヤマフェスタ、後方に置かれてブレイクランアウト、イコピコ、トライアンフマーチ。先頭の通過タイム1000mは59.1秒と速い。しかし、後続はリーチザクラウンを恐れて離れて追走する。10馬身差ぐらいか。リーチザクラウンは後続の追撃がないとペースダウン。そして最後の下り坂残り800mでリーチザクラウンが一気にスパート。後続が捕まえる瞬間に一気のペースアップでなし崩しに脚を使わせる戦法。直線入ると内ラチを背にリーチザクラウン先頭だが、直後にスリーロールスが迫る。同じく先行したヤマニンウイスカーは伸びず、さらに大外からセイウンワンダーが迫る。残り200mでスリーロールス先頭だが外に大きく膨らんで、内からフォゲッタブルが接近。ゴール板は両頭の併せ馬となり、勝ちを確信した浜中騎手の左手が挙がった。
戦前からリーチザクラウンの動向がレースを左右するというのが大方の見方。しかし、それを読みきり、勝ち馬を想定するのは難しかったと思う。ペースを窺うと、前半は集団から離しての逃げ、中盤は力を温存、後半は急激なペースアップを図りロングスパートを意識しつつ、且つ自分を追いかける後続に脚を使わせるという武豊騎手の手腕が光った(残り800〜600mのラップを見れば分かる)。この最後の下り坂が勝負の分かれ道となった。下手にロングスパートを仕掛けた馬が失速し、逆に我慢した馬が伸びる展開に。
スリーロールスは直線まで我慢し続けたことが最後の伸びに繋がった。瞬発力勝負では分が悪いと、先行して粘りきることを選択した浜中騎手。最も先行した組では残ったのはこの馬。筆者はスリーロールスをスタミナ志向(コテコテ)なステイヤー(ヒシミラクルやデルタブルースなど)と思っており、瞬発力勝負はきついと考えていたが、今回の菊花賞でその資質が開花した。 フォゲッタブルも我慢の競馬。この馬も潜在的なスタミナと共に瞬発力も発揮した。 イコピコに関しては馬任せで追走したのだが、思ったほど後方の位置取りになったのは騎手の計算違いだっただろう。最後の脚は実力を確認するのには十分な内容だった。 リーチザクラウンは最後まで全馬を苦しめただが、最後は5着という結果は満足だろう。 アンライバルドは武豊騎手の思惑に引っかかり、直線失速。 ナカヤマフェスタは残り800mで騎手の手綱が激しく動き、失速。急激なペースアップに対応できなかったようだ。
今回の菊花賞は見た目以上にハードなレースだっただけに反動が心配。今後レースを使う馬は要注意。下手に人気を背負わせてそのまま埋没する可能性もあるだけに注意深く観察したい。
アラカルトを語りたい。調教師の武宏平氏は関西の大ベテラン調教師だが、大レースで有名な馬と聞けば菊花賞2着のゴールドウェイ(勝ち馬シンボリルドルフ)ぐらい。武牧場、そして騎手の浜中俊騎手は同期の藤岡康太騎手と同様に二十歳のGI制覇を達成した。
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