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ジャパンCダート |
[ ☆レース回顧 ] |
|| K 09/12/06 (日)21:06
12.5 - 11.1 - 12.7 - 12.5 - 11.9 - 12.1 - 12.4 - 11.8 - 12.9
スタートしての先行争いは、外を引いたワンダー2騎と7番枠ティズウェイが前へ行こうとする。一方前に行きたかったマコトスパルビエロは鞭を振るっても反応せず、ヴァーミリアンも外から切れ込んできた馬に阻まれて前を取れずと2頭は苦しい状況に。それに対して、エスポワールシチーは無理に行こうとしていないにも関らずスピードの違いでハナを取ってしまう。ティズウェイはコーナーを慎重に曲がる為に減速、結局エスポワールシチーがハナを奪う形。戦前に言われていたような乱ペースにはならなかった。不利を受けたマコトスパルビエロ、ヴァーミリアンは中団で前を見る位置。その後ろは少し離れた。 それを見越して……というよりはペースに戸惑ったという方が正確だろうが、マコトスパルビエロが向正面から前に取り付いていく。しかし、エスポワールシチーは全く動じず処理した。 後ろは3角入口から追い出しを開始する。後方から上がって行ったマコトスパルビエロ、先行集団にいたサクセスブロッケン、そしてワンダースピードとワンダーアキュート。後方からも次々と馬が襲い掛かる。しかしただ1頭、逃げていたエスポワールシチーだけは全く手綱が動かない。手応えが全く違う。もうこの時点で「勝負あり」。一方、ヴァーミリアンはスパートに反応が全くなくずるずると後退していく。 直線は最早エスポワールシチー新王者襲名の披露式のよう。馬が気を抜かないように追ってはいるが、鞍上佐藤哲三騎手はビジョンで後ろを確認した後、目視でも確認する余裕。後ろは激しい争いになったが、この馬にとってはどこ吹く風、まさに「後ろからは何にも来ない」。余裕綽々でゴール板前を通過し、ダート界の新王者誕生を印象付けた。2着は末脚勝負に徹したシルクメビウス、3着も同じく末脚勝負のゴールデンチケットと3歳勢。エスポワールシチーを潰しに行った一頭であるサクセスブロッケンが4着に粘り、4着までを3,4歳勢が占めた。チャンピオン交代だけではない、完全なる世代交代が実現した瞬間だった。
混戦と謳われたレースだったが、終わってみればエスポワールシチーの力は1枚どころか2枚も3枚も上だった。フェブラリーSで厳しい競馬を経験し、完全に一皮向けた。ハナに行ったのは作戦ではなく、力の差があったからに他ならない。これから暮れの大井に向かうのか、来年の府中まで待つのか……どちらにしても最有力の存在になることは間違いないだろう。そしてゆくゆくは、今金融危機で揺れるあの場所を目指す事になるのだろう。 シルクメビウスは調教の良さを生かした。エスポワールシチーを捕まえに行った馬たちを一飲み。展開に恵まれた事は確かだが、他の差し馬の中で最先着なのは立派だ。来年に繋がる好内容だろう。この秋波に乗るタナパクは本当に立派、来週の大一番にも期待したい。 ゴールデンチケットも相手なりに良く走る。逆に勝ちきれないだけに今後賞金面での課題が出てくるわけで、もう一皮向けたい所だ。 サクセスブロッケンは喧嘩を売りに行った中で唯一粘った。前走の惨敗で精神面で戻っているか懸念されたが、力を出し切っている。エスポワールシチーとの勝負付けは済んでしまった印象だが、力のあるところは見せたと思う。 6着に終わったが、出来一息で終始パドックでもチャカついていたワンダーアキュートはあの状態でここまでやれたのは収穫だろう。気性が落ち着いてくれば先々G1でも勝負できそう。シルクメビウス、テスタマッタらと共に世代間でしのぎを削って欲しい。 一方、5歳以上の古豪勢の何と不甲斐ない事か。唯一アドマイヤスバルが流れ込んで掲示板にのったが、上がりが逃げたエスポワールシチーよりも遅いのでは話にならない。メイショウトウコンも流れが向いただけ、とはいえ近走の無残な成績からすればこれでも上出来ではあるが。 ヴァーミリアンは相当ズブくなっており、エンジンがかかる前に馬群に飲み込まれていた。戦前に指摘していた通り、中央の多頭数、スピード競馬にはもう対応できないのだろう。年齢を考えても衰えと見るべきで、エスポワールシチーに引導を渡されたと解釈してもいいだろう。 マコトスパルビエロはどうしたのか。どこを切り取ってもちぐはぐな内容だった。近走の充実振りが嘘のようで、まるでムラのあった以前のこの馬に戻ってしまったかのようだった。先行きが不安になる内容だ。
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