|| 倫敦納豆 10/11/17 (水)03:32
プロヴィナージュの回避により、今年のエリ女は17頭で行われた。人気はアパパネ(2.7倍)、メイショウベルーガ(3.1倍)、アニメイトバイオ(7.2倍)、そしてスノーフェアリー(8.5倍)の順である。 スノーフェアリーは英愛オークスを制し、実質的な格ではむしろアパパネより上とさえ言えるのだが、日本向きかどうかの不安から人気はこの程度に落ち着いた。英愛オークスのタイムが欧州的に遅かったことから、なおさら「日本向きでない」とみなされた面がある。 同時に、アパパネの評価の低さも個人的には意外だった。メイショウベルーガの実績は立派なものだが、こういう馬が人気になるのはG1牝馬不在、またはG1牝馬が弱いときである。特に近年の牝馬優位の時代には対牡馬勝利が大した評価を得られないのではないかと予想していたのだが、アパパネとほぼ並ぶ人気を得ている。これはアパパネが「弱い三冠牝馬」だと思われているのだろうか?
12.7―11.2-12.3-12.3-11.6-12.1―12.1-11.9-11.8-12.7-11.8
スタート直後は逃げが予想されたテイエムプリキュアが逃げず、セラフィックロンプが先頭に立つ。しかし1周目のゴール板を過ぎたあたりからテイエムプリキュアが小足を使って先頭に立って、2角で後続を離し始める。実はこのあたりのプリキュアのペースは12秒台前半で、特にペースを上げた訳ではなく、後続が一方的にペースを落としているのである。 先頭はテイエムプリキュア、離れてセラフィックロンプ、また離れてブライティアパルス、また離れてリトルアマポーラら。アパパネはその後、スノーフェアリーはその直後、さらに後ろにアニメイトバイオやアーヴェイがいて、メイショウベルーガはその後ろにいる。前半1000mは1:00:1であった。 その後もテイエムプリキュアはハロン12秒ペースで逃げ続ける。残り800m地点で、先頭と4番手との差は2秒半くらいか。このあたりでまず、外からアーヴェイが、内からサンテミリオンが追撃体制を整えた。その少し前にいたコロンバスサークルが、内枠を活かして先行勢に近づいた。 直線に入って、まだ先頭はテイエムプリキュア。しかし後ろとの差は縮まって、各馬が追ってきている。残り400mを切ったところで、まだ馬群の中にいたスノーフェアリーが、内に進路を取ってすごい脚で突き抜けた。残り1Fではもう後ろに2馬身以上の差をつけていたので、最後から2F目のわずか200mだけで勝負を決めてしまったことになる。外からはリトルアマポーラ、アパパネ、そして大外からメイショウベルーガらが伸びてきたが、もはやこれらは優勝争いではなくなっていた。内ラチ沿いをスノーフェアリーがそのまま駆け抜けて4馬身差の完勝、以下メイショウベルーガが2着、アパパネはリトルアマポーラとの接戦を制し、かろうじての3着であった。
スノーフェアリーの直線の脚は衝撃的であった。内を選んだのがよかったとの説もあるのだが、個人的には賛同しない。第一に、スノーフェアリーは4角ではもう少し外へ行きそうな回り方をしており、進路を曲げて内を狙ったのである。なので距離のロスを防いだわけではない。第二に、2着から4着までの争いは外の馬ほど勝っている。内有利の馬場とは言えないはずだ。今回の結果は純粋にスノーフェアリーの強さであり、日本馬との力量差だと判断する。 メイショウベルーガは充実期を感じさせる走りだったが、先行できない弱みが出てしまった。牝馬限定戦はスローになりがちで、今回も離れた3頭以外は遅いペースであった。こうなるとどうしても底力の優位を活かしきれない。今後も対牡馬の方で実績を残すのかもしれない。 アパパネはいつもよりも前の方で戦っている。今回は前の3頭以外はスローだったのだから、これは好騎乗だったはずだ。しかしその結果が4着と僅差の3着というのは、失望感はある。 目標は秋華賞の方だったのだろうとか、本当は直線が短いコースの方が強いタイプなのだろうとか情状酌量したい部分はある。だが、アパパネはここまで全ての牝馬G1を勝ってきた女である。それらのG1に価値があると言うのなら、「勝馬は別格だから仕方ない」と同情される側になってはいけないと思う。
|