|| 倫敦納豆 10/12/06 (月)01:40
一般にダートは芝と比べて競走馬の寿命が長く、故障も少ない。なので中央のダートG1は上位のメンバーがきちんと勢揃いすることが多い。だが今年はトップクラスの欠場が相次いだ。今年のマイル以上の(交流を含む)G1を勝った馬は、エスポワールシチー(フェブラリーS、かしわ記念)、フリオーソ(帝王賞)、スマートファルコン(JBCクラシック)が出走せず、サクセスブロッケンもいない。出てきたのはヴァーミリアン(川崎記念)とオーロマイスター(南部杯)だが、前者は年齢的な衰えが、後者も前走大敗のダメージが心配され、人気の中心にはなりえなかった。ファンの迷いを象徴するように人気は割れたが、最終的に一番人気になったのは前走みやこSを逃げ切ったトランセンドであった。 人気はトランセンド(3.5倍)、シルクメビウス(4.1倍)、キングスエンブレム(5.3倍)、ヴァーミリアン(9.2倍)、初ダートのアリゼオ(9.6倍)までが10倍未満、10倍台はラヴェリータである。
12.5-10.7-12.7-12.0―12.1-12.3-12.0-11.8-12.8
今回面白いのは、シルクメビウス、キングスエンブレム、トランセンドと上位人気3頭が内枠から順に並んだことである。スタートしてトランセンド、バーディバーディ、ダイシンオレンジの3頭が前へ行くが、内外の差もあってトランセンドが逃げる形になった。 忙しく1角を回ったが、先頭はトランセンド。続いてバーディバーディ、さらに内からラヴェリータ、外からダイシンオレンジ。続いてオーロマイスター、ヴァーミリアン、キングスエンブレム、アドマイヤスバルがいる。シルクメビウスと出遅れたアリゼオは中団の後ろにいた。前半1000mは60:0(生放送での表示では59:9)だった。 後ろを離せないままトランセンドは逃げ続ける。バーディバーディがすぐ後ろの外でマークを続ける。3角でも大きな順位変動は無かったが、外からダイショウジェットがまくって上がろうとしてきた。 4角を回って直線に入る。外からバーディバーディが並びかけるが、トランセンドも譲らない。この2頭の後ろが少し開いて、内にラヴェリータらがいる。しかし馬群の中からアドマイヤスバルとグロリアスノアが抜けて前を追う。外からはシルクメビウスも伸びているが間に合いそうもない。前の戦いはトランセンドがバーディバーディを下す。ここでグロリアスノアが急追したが、クビ差だけ残して勝ちきった。着順はトランセンド、グロリアスノア、アドマイヤスバル、バーディバーディ、シルクメビウスの順。
トランセンドはうれしいG1初勝利。結果的に内有利だったこと、少し馬場が渋ったことで高速化してこの馬の得意な形になったことなど確かに恵まれた面はある。反面、人気が割れたときの1番人気で、しかも逃げ馬という設定は、個人的には「危険な人気馬」のイメージが強い。それを現実に逃げ切り勝ちしたのは偉い。また、メンバー不足が言われる中でそれなりの勝ちタイム(1:48:9)を出したのは、レース低レベル説を抑える上で役に立っている。 グロリアスノアは4歳で重賞2勝とこのメンバーの中では好成績の部類なのだが、東京巧者のイメージからか8番人気止まりだった。ドバイ遠征の影響もあって国内の戦歴が少ないのだが、今後多くのレースを使って実力を発揮していくだろう。 アドマイヤスバルは今年未勝利ながら掲示板を外しておらず、今回もそういうレースになった。ダート差し馬にありがちな限界か。かといって東京では少し切れ負けしそうに思える。 バーディバーディはラスト1Fで垂れやすい馬であり、差しに回って味のあるタイプではないのでこの戦い方は正しい。逆にいうと力負けなのだが、3歳なので今後の成長に期待する。 シルクメビウスはこの秋初G1の期待が高まっていた馬だが、JBCクラシックとこのレースで夢が少ししぼんだ感がある。脚質ゆえに仕方ないという評価もあるが、脚質を承知で戦っているのだからもう少し工夫がほしいし、工夫ができないのなら飛びぬけた脚力がほしい。 ウォーエンブレム産駒は一般に、脚力が優れている反面もまれ弱い印象がある。キングスエンブレムは内枠が仇になったのかもしれない。
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