|| 倫敦納豆 11/05/23 (月)04:00
牝馬クラシック二冠目、オークス。世代最強扱いのレーヴディソールは相変わらず復帰できないでいたが、桜花賞上位馬の多くが出走した。1番人気は桜花賞1着マルセリーナ(2.2倍)、2番人気は桜花賞2着ホエールキャプチャ(3.0倍)と2強オッズ。以下は一気に10倍を越えてグルヴェイグ(10.4倍)だが、この馬は「新興勢力」であるだけでなく祖母・母がオークス馬である点も評価に含まれており、(他馬も含め)戦歴だけでは2強を逆転する要素がないとみなされていたと思われる。以下の10倍台はハブルバブル(10.9倍)、バウンシーチューン(15.8倍)である。
12.9-11.2―11.8-12.4-12.4-12.2-12.8―12.2-12.5-11.8-11.5-12.0
出走メンバーの中で、(勝ち負けにかかわらず)前走で逃げた馬はいない。よって前半はどうせスロー、が大方の予想ではなかったか。スタート直後はライステラスが先頭に立つが、大外からピュアブリーゼが一気に先頭に立つ。出遅れ気味だったシシリアンブリーズも外を回して前へつける。この3頭が先頭集団を形成し、3F過ぎたあたりから後続との差が開いた。 1000m通過は1:00:7と意外に速い。4番手以降はマイネソルシエール、ハブルバブル、スピードリッパーにハッピーグラスときて、さらにカルマート、エリンコート。後方では出遅れ気味だったホエールキャプチャがグルヴェイグと並んで走り、マルセリーナはさらに後ろである。 3番手と4番手の差は最大で6馬身くらいまで開いたが、8F目、3角に入ったあたりから徐々に詰まり始める。だがラップを見た感じでは、ここで先頭はスピードを少し上げており、その部分で追い上げている時点で既に消耗が始まっていたようだ。 直線に入って、ライステラスとシシリアンブリーズは間もなく馬群に飲み込まれるが、ピュアブリーゼは先頭で粘り続ける。そこへ外からスピードリッパーが、さらにそれを外から押さえ込むようにエリンコートが伸びてきた。その後ろからホエールキャプチャ、マイネイサベル、マルセリーナが順にやってくる。 ホエールキャプチャの猛追に粘るピュアブリーゼ。その間でエリンコートが最後の脚を使い、戦いに終止符を打った。2着争いはピュアブリーゼがホエールキャプチャをわずかにしのいだ。
(血統から予想される)スタミナを活かして主導権を握ったピュアブリーゼだが、実はラストにそれなりの脚を残した逃げだったようだ。とはいえ大方の予想よりは、そして例年よりは速いペースであり、少なくとも例年よりはスタミナ寄りの戦いになっていたことだろう。そのレースを制したのがデュランダル産駒というのも面白い。 一方で連対できなかった「2強」については、大崩れはしていないわけで世代上位であることは間違いない。だが今回のオークスは珍しく2400m分のスタミナが問われた戦いであり、マイルの延長線では勝ちきれず、上位2頭に適性で劣ったのだと解釈している。
最後に書きとめておくべき点を2つ。まず勝ったエリンコートは、最後の直線でスピードリッパーの進路を狭めて審議対象になった。一般に「斜行」は、加害馬が被害馬の前へ出て、被害馬やその騎手が驚いてブレーキを掛けてしまう場合が多い。今回は幅寄せ・接触による妨害だったが、大きく前へ出て妨害したわけではないため、事故直後のスピードリッパーの減速はそれほどでもなかった。このあたりが降着にならなかった理由であろうか。(ただし似たような形でも、06年秋天のように降着になる場合もある) もう一つ、今回はレースの直前から雨が降った。オークスは良馬場扱いだったが次の芝1600万下は稍重だったので、オークスも少なくとも「稍重寸前」だったといえる。だが今開催の東京の芝は好タイムが続出する高速馬場であった。先述の12R・芝1400m・稍重でも1分20秒台が出た。表面が濡れることでの有利不利はあったろうが、馬場の速さでいえば高速馬場と雨で相殺された程度である。「実質タイム」と称して本当ならもっと速かったと考える必要は感じていない。
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