|| 倫敦納豆 12/10/22 (月)05:32
牡馬クラシック最終戦の菊花賞だが、ダービー上位の馬の回避が相次いだ。トーセンホマレボシとワールドエースが故障(前者は引退)、フェノーメノは秋天へ。ダービー馬ディープブリランテも屈腱炎が判明し、長期離脱となった。有力馬はゴールドシップ1頭だけ、重賞勝ち馬なら辛うじてコスモオオゾラがいるが、故障明けのぶっつけであり、この時点では人気の一角にはなり得なかった。 人気はゴールドシップ(1.4倍)の後はマウントシャスタ(13.1倍)、ロードアクレイム(18.4倍)と大きく離れ、この後20倍台が5頭並んだ。一方で最低人気も136.9倍(フジマサエンペラー)と極端でなかった。 京都の芝は開催前半は高速だったが、週半ばの雨で変わったのか、この日は「普通の良馬場」程度になっていた。
13.0-11.9-12.2-12.2-11.6−11.6-12.6-12.5-12.3-12.2−12.5-12.2-11.9-11.8-12.4
ゴールドシップのスタートは悪くなかったが、そこから加速をせずに後方に控えた。先頭に立ったのはビービージャパンで、コスモオオゾラ、タガノビッグバン、フェデラルホールらが集団を形成する。ゴールドシップは馬群から離れた後ろにいた。 1周目の直線に入ってもまだ馬群はかたまりに近く、内外3〜4頭分の幅がある。この状況で始めの1000mは1:00:9であった。先頭のタイムが例年より速く、しかも2番手以降が離れていないので実質的にはかなり速いことになる。2周目に入って、先頭はビービージャパン。続いてトリップ、フジマサエンペラー。さらにコスモオオゾラ、タガノビッグバン、アーデント。中団の大外にマウントシャスタが進出して、ユウキソルジャーとスカイディグニティはその後ろ、ロードアクレイムはさらに後ろでゴールドシップはもっと後ろ…のはずだった。しかし3角手前で早くもレースが動く。ゴールドシップが大外から馬群を抜き始めたのだ。スタートから2:00あたりで抜いているので、仕掛け開始は残り1200mあたりだろう。 同時にこの辺で、ハイペースに耐え切れなくなった先行勢が崩れ始める。まずニューダイナスティがトラブル的に下がり、続いてフジマサエンペラー、アーデント、コスモオオゾラも限界になる。逆にマウントシャスタは抜かせまいと前へ取りつき、スカイディグニティも馬群を縫う形で追い上げる。 3角でまだ残っていた先行勢も4角で一掃される。ミルドリーム、タガノビッグバン、トリップ、そして先頭のビービージャパンも捕まっていく。マウントシャスタとゴールドシップが並んで先頭に立つあたりで、ゴールドシップの真後ろからラニカイツヨシ、大外を回してベールドインパクトが上がってきた。 直線に入ってついにゴールドシップが先頭に立つ。マウントシャスタはしばらく内で粘っていたが、やがて沈んでいく。馬群を抜けたスカイディグニティがベールドインパクトと併せて追いかけるが、先にベールドインパクトが力尽きる。最後まで追いすがるスカイディグニティに対し、ゴールドシップは最後まで差を保ち続け、1馬身4分の3の着差で優勝した。タイムは3:02:9。3着はゴール寸前でベールドインパクトを交わしたユウキソルジャー。
今回の見どころは、ゴールドシップの超ロングスパートであろう。速くはなかったが、その持続力は驚異的である。また、このようなレースをしたということは最内枠自体は損をしていた可能性が高い(一方、スカイディグニティは内枠が欲しかったかのようなレースをしてはいるが)。 一方で先行勢はつらい目にあっている。確かにペースが速く、仕掛けのタイミングが早かったことを考えると、着順・着差の悪さは仕方ない。だがそれでも、一定の実力を示したいのであれば、直線入り口くらいまでは粘っていてほしかった。もちろん平均的な菊花賞ならもう少しましだったろうが、「まし」でしかなかっただろう。
長距離戦でバテるとはよく言うが、実際には勝ち馬が上がり34秒台に対してその馬が36秒台などの形で、道中のペースよりも速くできなかっただけ、という例がほとんどである。だが今回は純粋に近い形でスタミナの消耗が主因で何頭もの馬が悲惨な目にあっている。これは実質的なペースが速すぎたのか、それとも今回のメンバーが弱すぎたのか。私は前者に近い(過去の3分2秒台だった回と比べて馬場が遅い)と思っているが、実績馬の出走が少なかったことから後者の考えを採る人もいるだろう。そうした評価を覆すべく、今回の上位馬たちには頑張ってほしい。
ところで今回の菊花賞に際して、残念に思っていることがある。札幌最終週の丹頂Sを使う馬がいなかったことだ。神戸新聞杯やセントライト記念よりは、平均的な菊花賞の流れに近いレースになりやすく、もし賞金的な心配がないなら良い経験ができると思うのだが。多様な前哨戦を経た馬が集まって戦った方が、私も楽しめる。
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