|| 倫敦納豆 12/11/12 (月)02:55
秋天には「菊花賞に行かない3歳馬」は出てくるが、それが3歳勢の主力とは限らない。3歳世代の主力が参戦するであろうG1は、このエリ女が最初である。そのため、3歳勢のレベル云々が話題になりやすいG1である。ただしこれまでは3歳馬が一番人気になり古馬が勝つパターンが多かった。やはり3歳馬は秋華賞をピークにせざるを得ず、全力を発揮しきれないのだろう。今年はジェンティルドンナがJCに行くため、3歳勢代表は牝馬三冠オール2着のヴィルシーナとなるのだが、登録の段階でこのヴィルシーナの1番人気は濃厚視されていた。競馬ファンは前述の3歳馬の苦境はある程度考慮しつつも、古馬勢を弱しと見ていたのだろう。最終人気はヴィルシーナ(1.9倍)、フミノイマージン(5.4倍)、ホエールキャプチャ(8.1倍)とここまでが10倍以内、以下オールザットジャズ、ピクシープリンセスが10倍台である。
13.0―11.3-12.9-12.6-12.6-12.9―12.7-11.9-11.5-12.5-12.4
まずはレジェンドブルーがハナを切る。その後にマイネイサベルで、オールザットジャズやヴィルシーナらがこれに続いた。隊列は比較的早く安定的に決まり、ホエールキャプチャは中団、フミノイマージンは後方、ちょっと離れた最後方にピクシープリンセスがいた。1000m通過タイムは1:02:4だが、重馬場を考慮に入れれば遅いともいえない。 1000mを過ぎたあたりで最後方のピクシープリンセスが遅れを取り戻しに馬群に追いつく。そして1200m過ぎからエリンコートが大まくりを狙って進出したところからレースが動いた。この動きに5番手の外にいたヴィルシーナが反応し、その前のオールザットジャズはエリンコートの動きに合わせて先頭を狙い始めた。ヴィルシーナは反応しつつもまだ半分自重している。その後ろではラシンティランテ、さらに後ろではレインボーダリアが外に出して前をうかがっている。 4角を回って、早くもエリンコートのまくり不発がはっきりした。直線でオールザットジャズが先頭に立って後続を離しにかかる。もし内が伸びる馬場なら勝者はこの馬だったかもしれないが、馬場の荒れで伸びを欠いた。馬場の中央からヴィルシーナ、外からレインボーダリアがやってきて先頭を奪う。脚色はレインボーダリアの方が勝っていたが、ヴィルシーナも併せ馬の形にして食い下がる。さらに後ろからピクシープリンセスが猛追して3頭の争いになったが、レインボーダリアがクビ差で栄冠を勝ち取った。
一般に前日投票と比べて最終結果では人気馬にさらに人気が集中するもので、そうでない馬は人気が落ちるのが普通である。だがレインボーダリアは、前日30.3倍から最終23.0倍へとかなり人気が上がった。雨を不確定要素と見てヴィルシーナが避けられた面はありそうだが、私はウインズで「雨だからレインボーダリア」という声をレース前にもレース後にも複数回聞いた(同一人物の可能性も否定できないが)。確かにこの馬には重馬場での勝ちはあったが、稍重で人気を1つ下回る着順が3回、不良と稍重で人気と同じ着順が1回ずつと、全般的に見て重巧者とは言えなかった。 とすると、縁起物的に雨に関連する馬名(レインボー=虹)を求めていたのだろうか。私は今回のレースを、雨と虹との関係で神秘的に語られる可能性を恐れる。(それが今回の回顧文を書いた重要な動機である) 今回の上位の着順は、良馬場だったらあり得ないものとは思っていない。勝ち馬は昨年は人気薄ながら普通の戦い方で5着に入っており、コース適性は高かった、というより2000mを超えた方が(少なくとも牝馬同士では)よい馬だった可能性がある。この点牝馬限定戦は古馬ではエリ女を除くと2000mまでしかないため、出走馬の長距離適性が分かりづらいのだが。 対して3歳の有力馬はオークスでそれなりの着順を得ている場合が多いため、古馬勢と比べて長距離適性が高めに見積もられる場合が多い。この点も初めに述べた、「1番人気は3歳、1着は古馬」の原因であろうか。
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