|| 倫敦納豆 12/12/03 (月)02:03
スマートファルコンが引退、エスポワールシチーとトランセンドには衰えが見え始め、新しい主役の候補だったゴルトブリッツが死去。今にして思えば、2年前の帝王賞でフリオーソが勝って以来、同じ馬たちが頂点グループにいたわけだが、現在はその体制が崩れ、過渡期にある。 人気は連勝中のローマンレジェンド(2.3倍)、エスポワールシチー(6.0倍)、ワンダーアキュート(6.3倍)、イジゲン(7.1倍)、トランセンド(9.0倍)とここまで10倍以内、続くニホンピロアワーズが19.9倍だった。
12.6-10.7-12.5-11.7−12.3-12.6-12.6-11.6-12.2
レースはエスポワールシチーの逃げとナムラタイタンの出遅れで始まった。イジゲンも加速しそこなっている。エスポワールシチーの後にはホッコータルマエとトランセンド、ニホンピロアワーズ、ワンダーアキュートとついて行った。ローマンレジェンドはほぼ真ん中あたりにいる。エスポワールシチーは後続を3馬身ほど離しながら進むが、1000m通過タイムは59:7。レース直前から小雨が降っていた(発表では曇り)とはいえ良馬場でこのタイムはやや速めか。 残り600mくらいで早くもトランセンドが手ごたえをなくす。替わりにホッコータルマエが2番手に上がり、ニホンピロアワーズも続いた。ワンダーアキュートは内でもう一我慢する作戦を選ぶ。ここでグレープブランデーとトゥザグローリーが外からまくってくる。ローマンレジェンドは内を回る。 直線に入ってホッコータルマエが先頭に立った。ニホンピロアワーズがそれを交わして先頭を奪う。ワンダーアキュートは内から外へ移って、グレープブランデー、ローマンレジェンドとともに前を追う。この中からはワンダーアキュートが出たが、ニホンピロアワーズは既に大きく抜け出ており勝負あり。人馬ともに初のG1制覇となった。
ニホンピロアワーズは6番人気の伏兵だが、(私の場合ウインズで)周りの反応を見ると、比較的納得度が高い感じだった。戦績を振り返ると、勝率・連対率は高いがG1実績が少ない。高望みせずに勝負になりそうなところを確実に取ってきた感じである。それがG1では少し足りない印象を与えていたが、今回は流れに乗ることに成功した。 ワンダーアキュートの和田騎手は痛恨の選択失敗。内から外に出すタイミングにニホンピロアワーズに外を通られて出せず手間取り、ここで勝機を失った。このあたりを私なりに推理すると、前にいたホッコータルマエが疲れて下がるところを内から抜ける予定で、ホッコータルマエが予想外に頑張ったので予定変更だったのではないだろうか。初めから外を回していれば損をしなかっただろうが、それでも勝ちまであったかはわからない。
さてここで、初ダートでこのレースに出てきたトゥザグローリーについて考えを述べたい。走りにぎこちない部分は見られず、ダート適性は悪くなかったように思える。では敗因は何か。一つには能力そのものの不足ではないか。要するに調子落ちのG2馬がG1で通用しなかっただけの話で、もう少し状態を上向きにして平安Sあたりに出れば勝負になったと思う。もう一つはとった戦法である。3枠5番なら内に潜ることもできただろうに、外を回して4角でまくって先頭に上がろうとした。砂をかぶるのを恐れ、なるべく芝のレースと同じ感覚で戦おうとしたのだろう。だがやはりこれは強気すぎる作戦だった。 一般に、ダートは芝と比べて格下のイメージが付きまとう。実際には無関係だったのかもしれないが、「力を出しさえすれば芝馬であるこちらが勝つはず」のような思い込みでトゥザグローリーを走らせていたのではないかと思えてならない。
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