|| 倫敦納豆 14/04/07 (月)00:16
予想には参加しておりませんでしたが、回顧させていただきます。
昨年末開催以来、中山の芝は低速気味で、さらに徐々に低速化が進んでいた。だが日経賞の週あたりから、逆に高速化した印象がある。さらにこの週から、芝はBコースに変更している。個人的実感としては、これで同時開催の阪神の芝と同じくらいだろうか。 このレースの人気はコディーノ(3.7倍)、レッドアリオン(4.5倍)、トリップ(6.6倍)、カレンブラックヒル(6.9倍)、マウントシャスタ(7.7倍)と人気が割れた。
12.6-10.9-11.3―11.3-11.8-12.1-12.1-12.5
カレンブラックヒルが好スタートを決め、そのまま先頭に立った。トリップとダイワファルコンも先頭に並びかけるがカレンブラックヒルが譲らず、結局カレンブラックヒルが逃げることになった。コディーノ、カオスモス、ネオヴィズダムは先頭の3頭の後ろにいる。レッドアリオンやマウントシャスタといった他の人気勢は中団かもう少し後ろにいる。 3角に入って、先頭はトリップに代わる。続いてダイワファルコン、カオスモスも外からトリップを追い、カレンブラックヒルは内で徐々に後退した。コディーノ、エールブリーズも外から出る準備をする。 直線に入ってトリップが1〜2馬身ほど抜け出すが、その後ろでダイワファルコンとカオスモスが追う。馬群もそのままついていく。ところが残り200mほどでトリップが力なく後退を始めた(左前浅屈腱不全断裂)。ダイワファルコンも後退し、カオスモスが何とかなだれ込もうとするところ、内で死んだふりをしていたカレンブラックヒルが再度内から伸びて先頭を奪い返して勝った。
カレンブラックヒルは3歳時の毎日王冠以来の勝利で、ほぼ1年半ぶりとなる。GI馬がGIIIで勝ったくらいで褒めるのは失礼かもしれないが、きちんと斤量を背負ってなのだからいいだろう。
さて、レース回顧にかこつけて記したいのは、勝ち馬(秋山騎手)の戦法についてである。似たような勝ち方を、今年だけで少なくとも2度見た。京都記念と、今週土曜の安房特別(芝2500m、1000万下)である。(私が見てないだけでもっとあるかもしれない)
(1) 逃げる。2番手との距離は問わない。 (2) 3〜4角で後続が逃げる自分を抜きにかかっても、抵抗せず抜かれる。 (3) 限界だから後退すると見せかけて?内で脚をためる。 (4) 直線に入って再度力を出して抜き返す。
ここでのポイントは(2)で、従来は「逃げ馬は一度でも抜かれたら終わりで、脚が少しでも残っているうちは抜かれないように粘るべき」という思想だったように思う。状況にもよるだろうが、無理に粘るよりは一度抜かれた方が得と考えている訳だ。 私見ながら、これは有力な戦法だとは思う。というのも、芝の場合は最後の3Fが「11.3−11.3−12.7」のように、最後の1Fが遅くなってその前の2F分が速いことも多いからだ。逃げ馬だって、この部分をもう少し平均化したくはなるだろう。そのために3〜4角での順番を犠牲にするのは有効に思える。
ただしこの作戦が、さすがに反則にはならないだろうが、騎手間での紳士協定に反する行為のように扱われる可能性も感じる。現時点で思うことは2つある。
(A) 従来は、勝負どころで内で後退するのは「勝負から脱落した馬」だった。だから他の馬も後退する道を開けてくれた。だが逃げた馬が狙いを持って内で後退して控えるとなると、その馬も警戒する必要が出てくる。また、その逃げていて後退した馬はもう一度伸びる脚を持っているのだから、他の馬はその馬の直後につけるのが有効な手段になる。こうして逃げ馬が後退したときに関する常識が変わったとしたら、馬が本当に限界になって後退しただけのときに接触事故が起こることにならないだろうか? (B) 今回は勝ったからよいが、この作戦は「勝ち目の薄い逃げ馬が、つぶれての大敗を避けて、そこそこの着順を得るため」に使うこともできる。それはファンには、敢闘精神の欠如に見えるのではないだろうか。現状でも追い込み馬はそういうことをやっているのかもしれないが、逃げ馬は「そのままの通過順を保てれば勝てるのに」という目で、より厳しく見られるだろう。
最後に、前例として挙げた京都記念と安房特別のラップを再掲する。 京都記念(デスペラード=横山典) 13.3―11.8-13.2-12.9-12.5-12.9―13.0-12.2-11.5-11.0-11.7 安房特別(ケンブリッジサン=横山典) 7.3-12.8-12.6―11.4-11.6-13.2-13.1-13.1―12.1-12.2-12.0-11.9-12.2
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