|| 倫敦納豆 14/05/26 (月)01:06
桜花賞後、2着馬のレッドリヴェールがレース間隔を理由に、オークスでなくダービーへの参戦を表明した。現3歳世代は「牡馬<牝馬」が言われていただけに、「桜花賞馬ハープスターよりも牡馬勢を与しやすしとみたのではないか」との見方はあった。仮にその通りだとすると、ハープスターもダービーに行けば勝てることになる。ハープスターの去就が注目されたが、こちらはオークスへ向かった。その結果としてハープスターの単勝オッズは1.3倍となったのだが、たとえレッドリヴェールがオークスに出ていたとしても、2倍を超えることはなかっただろう。 その後の人気はヌーヴォレコルト(9.8倍)、バウンスシャッセ(16.4倍)、サングレアル(16.5倍)とここまでが20倍以内である。
12.4-10.6―12.2-12.8-12.7-12.7-12.8―12.5-12.0-12.0-11.3-11.8
スタートした最初の時点で先頭に立つ可能性を考えていたのは、ペイシャフェリス、マイネグレヴィル、エリーザベストの3頭。これは最終的に、ペイシャフェリス、エリーザベスト、マイネグレヴィルの順になる。続いてマジックタイム、ブランネージュ。中団にバウンスシャッセ、ヌーヴォレコルト、フォーエバーモアらがいる。サングレアルはもう少し後ろ、ハープスターは後方4番手あたりである。1000m通過は60秒7。 3〜4角にかけて隊列は大きくは変わらないが、ここでハープスターがむしろ位置を下げた。右斜め前にニシノアカツキがいて、外に出しにくかったからだと思う。前ではエリーザベストがペイシャフェリスに、マイネグレヴィルがエリーザベストに並ぼうとしていたがお互い譲らない。 残り400mでマイネグレヴィルが先頭に立つ。ハープスターは大外に出して追撃を始めているが、ここでニシノアカツキがマイネオーラムの横を回ろうとして外に膨れ、その後ろにいたハープスターが一瞬影になる場面があった(別に制裁などにはなっていない)。 マイネグレヴィルもそのまま押し切れるほどの勢いはなく、バウンスシャッセ、ブランネージュ、ヌーヴォレコルトらが交わしにかかる。中でもヌーヴォレコルトの勢いがよく、先頭に立った。しかしここで外からニシノアカツキとハープスターが勢い良く伸びてくる。ハープスターは先頭に迫るが、ヌーヴォレコルトが先頭を死守し、オークスを制した。
コースの内を通るか外を通るか。内は距離が短くて済む代わりに、前に馬がいて進路をふさがれる可能性が高い。また、多くの馬が通った跡があるため地面が荒れている。外は地面が荒れていないし他馬に邪魔される恐れは少ないが、距離を多く走る必要がある。そのため一般には、脚力に秀でた馬が、距離のロスに目をつぶって他馬を避ける目的で外を回ることが多い。一方で劣勢とみなされる馬は、距離が短くて済む内を回り、「他馬に邪魔をされたら仕方がないのでその時はあきらめる」という態度を取ることが多い。 で、ここで言いたいのはヌーヴォレコルトの進路である。1〜2角では内を走っていたが、その後は徐々に進路を外に取り、3〜4角ではむしろ馬群の外寄りを走っている。弱者が「内を走っても邪魔されない」という賭けをして勝ったのではなく、ある程度賭けを回避して戦って勝ったのである。運に恵まれての勝利でない点は強調しておきたい。 ハープスターは、いつもの戦い方をして敗れた。同世代の中で突出して強かったかのような評価を受けていたが、GIではここまで2戦1勝、勝った時もそれほど着差は大きくない。今回ニシノアカツキがいなかったら勝てたのかもしれないが、その場合でも着差は僅差だろう。「たとえ着差は小さくても力量差は絶対的」という評価が多かったのだが、仮に力量差が絶対的でも小さな着差しかつけられないのがハープスターの戦い方であり、僅差は簡単にひっくり返る、という点が今回の教訓である。
ところで確証はないのだが、ニシノアカツキ(の勝浦騎手)は、本当に打倒ハープスターを真剣に考えていたのではないかと気になっている。道中はハープスターの右斜め前に位置したが、これはハープスターが外から前へ進出しようとしたときに邪魔になる場所である。また先述のように直線で進路をふさぎかけて、これはさすがにわざとではないのだろうが、それでもハープスターと馬を併せられそうな位置に居続けた。意識はあったのだろうか。 ニシノアカツキは17番人気ながら4着に食い込んだ。ハープスターを意識したとすれば自分自身にも負担になるはずで、さすがに17番人気の馬が行うような行為ではないはずだが、結果の4着を見ると、意図してやったのかという妄想が湧いてくる。
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