|| 倫敦納豆 17/05/01 (月)01:34
有馬記念1、2着のサトノダイヤモンドとキタサンブラックは、無事に今年初戦を勝って春天に臨み、競馬ファンからは2強と評価された。私見だが、勝ったという結果だけでなく、勝ち方もよいと見られていたように思う。有馬記念3着のゴールドアクターは日経賞で大敗し、人気を落としていた。 人気はキタサンブラック(2.2倍)、サトノダイヤモンド(2.4倍)、シャケトラ(9.9倍)、シュヴァルグラン(12.0倍)の順。1、2番人気の差は、有利な内枠、不利な外枠という評価か。
ラップタイムはマラ男さんの記事をご参照願います。
スタートで遅れたのはシャケトラ、ゴールドアクター。スピリッツミノルも遅れ気味か。キタサンブラックが出そうな姿勢を見せたが、予想通りヤマカツライデンが逃げる。この馬は始めの1000mを58:3で飛ばし、レコード決着の一因となった。 キタサンブラックは2番手、続いてアドマイヤデウス、ワンアンドオンリー、そして出遅れたシャケトラが内から急いで上がってきて、シュヴァルグラン、ファタモルガーナときて次にサトノダイヤモンド。さらにタマモベストプレイ、アルバート。出遅れ勢のもう1頭のゴールドアクターは馬群の後ろあたりである。 2週目の2角では逃げ馬と2番手の差は2秒くらいありそうだったが、向正面で少しずつその差は小さくなっていく。この中で、タマモベストプレイが早くも下がりつつあった。3角でキタサンブラックが先頭との差を大きく詰め、それを必死に追うワンアンドオンリーとこの場では自重するアドマイヤデウス、そしてシュヴァルグランが外から伸びようとし、サトノダイヤモンドはまだ動かない。 直線に入ったところでキタサンブラックが早くも先頭に立つ。仕掛けに乗ろうとしたワンアンドオンリーも後退、代わって2番手に上がったシュヴァルグランに、内からアドマイヤデウス、外からサトノダイヤモンドが並びかけて前を追った。いったん追撃態勢を見せたシャケトラは伸びず、後に力尽きる。 キタサンブラックと2番手集団の差が詰まらない。2番手集団と5番手以下の差も開いた。キタサンブラックは最後に少し差を詰められたものの、1と4分の1馬身の差で勝利、レコード勝ちとなった。2番手争いはシュヴァルグランが制し、サトノダイヤモンドは最後に何とか3着に上がった。
内容的にキタサンブラックの完勝だったが、勝ち馬に有利な流れだったとまでは思っていない。大逃げ馬の2番手は、どういうペースで行くのかの判断が難しい。おそらく正しいペース配分で走ったことでこの点を克服したのだが、その副作用として、他の馬はキタサンブラックのペースに合わせて進めばよいことになってしまった。スピード・スタミナの差で潰してはいるが、基本的には素直なペース作りで他馬を走りやすくしてしまっていた。それなりに難易度の高い勝利だったと見たい。
ところで今回のレースは上がり最速がサトノダイヤモンドの35:0で、35秒台が10頭いた。これは高速レースになったことで上がりタイムが犠牲になった一方で、不利を受けたり(単純な力量不足以外で)ペースを乱されたりした馬が少なく、多くの馬が力を出せたことを示しているのだろう。 そう考えた場合、アルバートは少々物足りなかった。「もっと距離が欲しかった馬」である。人気より上の着順とはいえ、それはスローペースで上がりが速くなって出番がなくなる可能性も含めてオッズが作られているのであって、今回のような流れになることが保障されていればもっと人気は高かったはずだ。。良馬場条件でこの馬に今回以上に有利な流れが望めるだろうか?それでやっとこの着順という結果では、始めからチャンスはなかったのだと考えざるを得ない。 逆に意地を見せて消耗戦での強さを示したのがシュヴァルグランとアドマイヤデウスだったわけだが、そのアドマイヤデウスの岩田騎手の騎乗には驚いた。3角でキタサンブラックが先頭を捕まえようとしたときに、あえて自身のスパートを遅らせ、直線に脚を残して戦った。結局キタサンブラックは捕らえられず、2着争いには敗れた。だが逆に言うと脚を余していなかった証拠であり、あのときに一緒に行っていたらもっと突き放されていただろう。着順としては報われなかったが、騎手の判断が正しかったことを示している。
(追記) レース後の岩田騎手のコメントによると、アドマイヤデウスが3角でもたついた、とのこと。つまり、俊敏にキタサンブラックを追わなかったのはわざとではなかったことになる。ただし「追えていたらもっと突き放されただろう」という私の見解は変わらない。また、私の見解が間違っていたとしても、「当時の間違った意見」として読めればよいので、この部分の文章は修正しないことにした。
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