|| 倫敦納豆 17/10/23 (月)00:33
3歳クラシック最終戦の菊花賞だが、ダービー馬レイデオロは神戸新聞杯を勝ったものの菊花賞には出ないでJCに直行する予定である。皐月賞馬アルアインは出走するが、長距離に向かないという予測が強く、戦前の評価は混戦となっていた。また、台風21号の影響で馬場の水分は増えるばかりで、各馬の重適性が必死に探られたが、近年の整備された馬場では芝で良馬場しか経験のない馬も多く、なかなかわからない。 人気はキセキ(4.5倍)、アルアイン(4.9倍)、ミッキースワロー(5.2倍)、ダンビュライト(8.3倍)とここまでが10倍以内、以下サトノアーサー、サトノクロニクル、ウインガナドル、トリコロールブルー、ベストアプローチまでが10倍台。最低人気のプラチナヴォイスでも96.7倍で100倍超えがなかったのは、何が起こるかわからないと思われていたのだろう。
13.2-12.6-12.0-13.1-13.2―13.5-14.5-14.3-13.5-13.0―13.1-12.9-13.4-12.7-13.9 (勝ちタイム3:18:9。1ハロンで1秒ずつ短縮すると3:03:9となるので、そういう感覚でラップバランスを見ています)
ウインガナドルが好スタートを切り、プラチナヴォイスが立ち遅れた。他にアダムバローズ、スティッフェリオ、ベストアプローチが前へ行く。そこへ、スタートはあまりよくなく大外だったマイスタイルが前へ並んでくる。 ウインガナドルとマイスタイルが並んで1回目の直線に入る。続いてアダムバローズ、スティッフェリオ、ベストアプローチ。人気どころではダンビュライトが中団のやや前、アルアインはその後ろ、ミッキースワローはさらにその後ろで、キセキはさらにその後ろ、馬群の後ろ寄りである。多くの馬が内を開けて走っていた。ここでマイスタイルが抜け出て単騎の逃げとなる。始めの1000mは1:04:1。観戦中はこのラップが速いのか遅いのかわからなかったが、後から見ると速かったようだ。 残り1200mを切ったあたりで早くもマイスタイルが一杯、徐々に後退していく。内からクリノヤマトノオー、外からクリンチャーが前への進出を始めた。代わって先頭に立っていたウインガナドルも坂の下りでアダムバローズに並ばれて苦しい。さらにベストアプローチ、ダンビュライトが外から並びかけ、内では先行グループのトリコロールブルーとスティッフェリオが後退する。アルアイン、ミッキースワロー、キセキの人気勢も外から前へ押し寄せていた。 直線では内を大きく開けてダンビュライト。だがクリンチャーが外から並ぶ。これに内からポポカテペトルが、外からアルアイン、ミッキースワロー、キセキが迫る。ここからまずダンビュライトがクリンチャーに先頭を奪われ、アルアインも伸びを欠いた。ミッキースワローは直線半ばまでは伸びていたが、外のキセキが力強く先頭を奪ったあたりで力尽きた。キセキはそのまま2馬身の差をつけて菊花賞を制した。クリンチャーがポポカテペトルをわずかに抑えて2着、4着は最後に伸びたマイネルヴンシュ。
どちらかというと不人気勢が先行グループを形成したせいでもあるが、差し優位の決着となった。その中でキセキ、ポポカテペトル、ミッキースワローは大体同じくらいのタイミングで前へ進出し、直線で争い、順位が分かれた。このうちキセキとポポカテペトルの差は馬の実力だと思う。一方でポポカテペトルとミッキースワローの差は、馬場か距離かの適性の差だと判断している。ミッキースワローとアルアインは、(このレースで壊れていなければ)適性のあるレースに戻ったときに出番があるだろう。 また、外から進出するのは馬に力があれば難しくないが、ポポカテペトルは後退する馬を交わしながら内から距離ロスを防ぎながら進出して見せ場を作った。勝てなかったとはいえ、今回最もうまく乗ったのは和田騎手だと断じたい。 差し優位だとすると2着クリンチャーは仕掛けが早過ぎた理屈になるが、もともとこの馬は鋭い脚に欠け、粘り込むのが本領である。仕掛けを遅らせたとしてもこれ以上良い走りになったかは疑問で、悪い騎乗ではなかったはずだ。
近年、菊花賞と言えば距離短縮論などがよく叫ばれる。今回タフなレースになったことで、もしも故障馬が多く出るようだとその論を勢いづけることになるだろう。私は今回の激戦を楽しんで見た。今後も菊花賞は3000m戦として続いてもらいたい。そのためにも、今回の上位馬も、先行して潰れてしまった馬たちも、元気に走り続けることを期待している。
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