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宝塚記念 |
[ ☆レース回顧 ] |
|| 人力 05/06/27 (月)10:14
レース後の場内は、静まり返っていた。1番人気のタップダンスシチーが沈んだからではない。2番人気のゼンノロブロイが伸び切れなかったからでもない。11番人気という伏兵が勝ったからでも、恐らくないだろう。39年ぶりの牝馬による宝塚記念制覇という偉業を成し遂げたスイープトウショウ、その光景が、俄には信じられなかったからに違いない。
昨年圧倒的パフォーマンスを演じた古馬最強の2頭を正攻法で負かしたのだから、この牝馬の勝利はフロックでも何でもない。仮にタップダンスシチーに二走ボケ、ゼンノロブロイに半年ぶりの実戦というハンデが働いたと考えてもそれが競馬、スイープトウショウの勝利という事実が色褪せることはない。
勝ち馬は中団を終始追走、直線に入ってから満を持して抜け出すと、そのまま3番人気ハーツクライの猛追をクビ差押さえ込んでゴールに飛び込んだ。若駒の頃のゲート難や調教時に馬場入りを嫌うなどの問題点が解消され、実戦でその持てる力をフルに発揮できるようになったことが、安田記念の好走とこの勝利に結びついた。その強さ、秋にはどの路線で見せてくれることになるか。池添騎手にはマイル路線にデュランダルという強力なお手馬が居るだけに中距離王道路線を歩むことになりそうだが、どの路線に行っても好勝負になることは必至だろう。そのくらいの確信を持たせるに、本レースの走りは十分なものであった。
2着は後方2番手から脚を伸ばしたハーツクライ。不器用な馬だけに届かなかったことは致し方ないが、今回のデキ、展開で負けてしまったのは致命的。果たしてこの馬が全馬を差し切ることができるレースはあるのか疑問符が付いた。3着ゼンノロブロイは直線入り口でバテて下がってきたコスモバルクに進路を塞がれたという不利も働いたが、余力が残っていたならばもっと伸びるそぶりを見せてもよかった筈。4着のリンカーン同様、前崩れの展開にやられた格好。
さて1番人気に推されたタップダンスシチーだが、先行馬を向こう正面で掃除するのはいつも通り。「いつも」と違ったのは、それをマークする側だったのだろう。タップダンスシチーがコスモバルクを捉えにかかった2コーナー過ぎで、楽には行かせまいと先行していた全馬がいっせいに動いた。これが先行勢全滅の乱ペースを作り出した主因であろう。事実タップダンスシチーは、その前を行っていたコスモバルク、シルクフェイマス、サイレントディールらを「潰す」ことには成功している。
潰された先行勢が最下位から12着までを独占。但し、今回はそれを掃除したタップダンスシチー自身にも、有馬記念のゼンノロブロイのようにマークした側にすらも凱歌が上がることがなかった。駆け引きの妙、これがあるから競馬は面白い。
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