|| 倫敦納豆 09/02/22 (日)21:20
今までのダート戦は前半から飛ばして後半は我慢比べ、といった感じで、前半より後半が遅くなるペース配分が普通だった。だが昨秋のJBCクラシック、JCD、東京大賞典、そして今年1月の川崎記念と、全体のタイムが速くない割りに上がりタイムが速いレースが続いた。特に東京大賞典など、前半が64秒4、後半が60秒1、上がり3Fは35秒4と極端なスローの上がり勝負となった。この変化に対して競馬界の世論は概して好意的であり、ダート界のレベル向上を示すものとして扱う傾向が強かったように思う。 前述の4戦において、JBCクラシックはヴァーミリアンが制したが、後の3戦はカネヒキリが勝っている。当然このレースでも中心視され、1番人気となった。ヴァーミリアン、カジノドライヴと続き、以下フェラーリピサ、エスポワールシチーまでが単勝10倍以内、続く6番人気サクセスブロッケンは20倍を超えた。
スタートでサンライズバッカスが出遅れた。何頭かが前を争ったが、結局逃げたのはエスポワールシチー。カジノドライヴとサクセスブロッケンがその後につき、内でカネヒキリ、外でフェラーリピサが続く。続いてキクノサリーレで、ヴァーミリアンはその次である。始めの3Fは35秒1と表示された。 その隊列のままコーナーを回り、直線でエスポワールシチーは再び突き放しにかかる。2番手カジノドライヴで、内外の差を活かしてカネヒキリがサクセスブロッケンと並ぶ。フェラーリピサも必死に食いつくが、ヴァーミリアンはいまひとつ伸びてこない。 直線半ばで、ついにエスポワールシチーが力尽きた。まずカジノドライヴが捕らえ、続いてカネヒキリとサクセスブロッケンがやってきたが、この段階でサクセスブロッケンの方が伸び脚が優っていた。3頭の叩き合いになって、サクセスブロッケンがじわじわと前に出たところがゴールだった。最後にカジノドライヴにカネヒキリが並びかけたようにも見えたが、これはカジノドライヴが残していた。1着サクセスブロッケン、2着カジノドライヴ、3着カネヒキリ。逃げたエスポワールシチーが4着に残り、フェラーリピサ、ヴァーミリアンと続いた。勝ちタイムは1分34秒6(レコード)だった。
ダートコースの中でも、東京は元から上がりが速くなりやすい。だから今回程度の上がりは予想の範囲内だが、前半もスローとまでは言えずそれなりのペースではあった。冒頭の話に戻るが、昨秋から前半が遅いレースが続くことで、サクセスブロッケンは損をし、カネヒキリとヴァーミリアンは得をしていたのではないか、というのがレースを見た感想である。 ただし今後ダートG1戦線で、速いペースで引っ張ってくれる逃げ馬が出るとは期待しにくい。可能性があるとしたらサクセスブロッケン自身とフリオーソが先陣を争い続けたときくらいだろうか。そういう意味で、サクセスブロッケンはかしわ記念や南部杯のようなマイルG1の方が勝ちやすいかもしれない。同時に中距離G1では今後もスローペースが多いだろうから、レコード決着にならないような流れならカネヒキリとヴァーミリアンにも勝つチャンスはあるだろう。 カジノドライヴはJCDのときはあまり評価していなかったが、今回はかなり強かった。この差の理由はまだわからないが、現時点ではコース適性の問題かと思っている。次走はドバイWCなのだろうか。今回のレースを見て、ひょっとしてこの馬もマイル向きかと思っただけに、本当はゴドルフィンマイルの方がいいのかもしれない。(勲章の魅力の差はあるだろうが)
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