続き――しかし久しぶりの短距離戦のスワンSで4着に入り復活の兆しを見せ、マイルCSでも5着と健闘し短距離適正の方が高いのではと関係者共々思いかけていた矢先に、スプリンターSを回避して前週の阪神競馬場新装記念という謎のレースに出走することになった。
そこでは流石期待に応え圧勝!。これで彼の7歳シーズンは終るかに見えた。ところが内藤師はここで大きな賭けにでる。
その年のグランプリはトーカイテイオー不在のため
メジロマックイーンの独壇場になるだろうとの意見が大方の予想だった。マックイーン自身秋は降着などもあって陣営も相当気合を入れて臨んだ有馬記念。当然圧倒的な人気『このメンバーに負けるはずがない』
そしてやってきた有馬当日。
ダイユウサクは当然下位人気。それもそうだ前走OPENを勝とうが、層が薄かろうがこの程度の実績で上位人気を得られるほど有馬記念は
ヤワではない。単勝13000円とブービー人気。しかし内藤師には確信ともつかない自信があった。
レースは
ツインターボが引張り、マックイーンは中団に待機、
ダイユウサクはそれより後ろ。3コーナ辺りから失速する
ツインターボを
プレクラスニーが交わして先頭にたったが、王者マックイーンが並ぶまもなく差し切る。『勝負あった』誰もがそう思った瞬間、黄色の帽子、黒い馬体の馬が飛んできた。
その謎の馬はマックイーンの脚色を遥かに凌駕していた。そして次の瞬間には黄色の帽子の男が右手を天高々と上げていた。
ダイユウサクだ!あのデビュー戦からは思いもしないグランプリ制覇を成し遂げてしまった。一世一代の鬼脚はここぞという時に爆発したのだ。その後はパッとしなかった
ダイユウサクだが種牡馬入りして、残念ながら後継はだせなかったが今は功労馬として余生を過ごしている